〒659-0095 兵庫県芦屋市東芦屋町3番6-107号(阪急芦屋川駅徒歩3分・JR芦屋駅徒歩7分/提携駐車場有)
土地購入時に注意が必要な越境問題、注意点と対策について解説していきます。
よくあるパターン
・隣家の屋根の一部がご自身の土地にはみ出してきている。
・カーポートの一部がはみだしてきている。
・電線が空中で自分の土地を通過している。
目視では分からないことも多く、測量士が測量してはじめて判明する場合も多いです。
新築住宅を建てる時に、行政機関に建築確認申請を提出します。簡単にいうと、こういう計画で家を建てるつもりだけど、問題ないでしょうか?というお伺いをたてることを言います。その際に越境したまま計画を提出しますと修正を求められます。
「越境していますよね、越境している部分は有効宅地面積に算入できませんので越境している箇所の面積を減少して再提出してください。」と言われます。
図のように屋根が飛び出している箇所がばっさり切られ、宅地としての面積が減ります。所有権を放棄しているわけではありません。
有効宅地面積と所有権は全く別の問題です。
広くない土地で建ぺい率ぎりぎりで計画している場合は死活問題になりますので注意が必要です。
越境に対する金融機関の反応は3つパターンに分かれます。
①越境についてあまり気にしていない
②隣地所有者が越境を認めている、将来の越境解消を承認している内容が入った覚書があれば融資可能(後述します。)
③受付そのものが不可、融資不可能
私の経験上①はありません。
②と③が多く、以前は②で可能なところが③に変わってきている金融機関があります。
②で可能な金融機関も軽微な越境に限定されています。軽微な越境とは30cm以下の越境部分に限るなどです、金融機関によって定義は異なります。70cmの越境などは承認してもらえないのではないかと思います。
なぜ金融機関が越境を嫌うのか、権利の侵害がある担保物件を嫌うからです。
所有の意思をもって一定期間占有を続けると時効により所有権を主張される可能性があります。
民法の条文は以下のとおりとなっています。
民法162条
①20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
②10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時にに善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
そこで時効を中断させるために覚書が必要となります。
越境をしている方とされている方で覚書を結ぶことをおすすめします。
覚書の内容として以下を盛り込みます。
・越境の事実、越境の箇所をお互いに確認した。
・越境している方は建替時など将来の一時点での越境解消を約束する。
・越境されている方は建替時点までの越境物の撤去の猶予をする
・お互いに第三者に売却等所有権を移動させる場合は、第三者にも覚書の内容を継承させる
覚書を交わすことで占有をしている事実を認めていることになるので時効が中断します。
住宅ローンを通過させるために必要な覚書ですが、住宅ローン関係なく所有権を侵害されないためにも越境の覚書を交わすことは重要だと思います。
私の経験上、越境について一番問題になったのが旗竿地での竿部分の越境事案です。
建築基準法上宅地は道路に対して2mの接道間口が必要です。
しかし図のように隣地が越境している場合、有効宅地面積についてカットされるため2mの接道義務を果たすことが不可能となります。
この場合、覚書では対応不可能で、方法としては隣地所有者に対し越境解消をお願いする他ありません。
私の事例の場合、隣地所有者の方の屋根が一部飛び出ていましたがその部分をカットしていただくことができ、無事家を建てることができました。交渉がうまくいきましたが、なかなかハードな交渉でありいつもうまくいくとは限りません。
電線が越境している
電線の越境解消
電線越境もよくあります。図のように他人地をまたいで電線が引き込まれています。それを越境せず、電線を引き直します。
私の地域は関西電力、NTT西日本ですが、電話一本で無料で引き直しに応じていただけました。ただし、隣地に入らせてもらう以上隣地の人にお声がけが必要ですので空き家の場合注意が必要です。不動産購入時に電線が越境していて、隣家が空き家の場合で電線の引き込み直しが困難なケースでは、住宅ローンを扱う金融機関、確認申請を提出する行政機関にあらかじめそのままで良いのか確認したほうが良いです。
越境について解説いたしました。
まずは所有する不動産での越境の有無の確認が第一です。
越境しているのならば、どういう対策をすればよいか分からないとお困りでしたら、お気軽にご相談ください。